はじめに

2020年4月から2025年3月まで、5年間小学校教員として勤務しました。
子どもと関わることは大好きでしたが、「好き」という気持ちだけでは続けていくのが難しいと感じる場面も多く、以前から「辞めたいな」と思うことがありました。
それでも、教員を辞める決断は簡単ではありませんでした。
「周りに迷惑をかけるかもしれない。」
「本当に辞めて後悔しないかな。」
なかなか勇気が出なかった私が、退職を決意したきっかけは結婚です。
夫の転勤に伴い、静岡から大阪へ引っ越すことになり、退職を決断しました。
しかし、いざ退職すると決めてからは別の悩みが次々と出てきました。
- いつ、誰に伝えればいいの?
- 校長・教頭だけ?主任にも話す?
- 周りの先生には自分から伝えるべき?
- 退職までに何を準備すればいい?
- どんな流れで退職日を迎えるの?
私も退職を考え始めた頃は、そんな疑問ばかりでした。
教員の退職は一般企業とは少し異なり、退職を申し出る時期や引き継ぎ、提出書類など、事前に知っておくことで安心できることがたくさんあります。
この記事では、実際に教員を退職した経験をもとに、
- 退職を伝えるベストなタイミング
- 退職までの流れ
- 円満退職するためのポイント
- 退職までにやること
をわかりやすく紹介します。これから退職を考えている先生の不安が少しでも軽くなれば嬉しいです。
教員退職までの全体の流れ
まずは全体の流れを簡単に紹介します。
①退職を決意する(本当に辞めて後悔しないか気持ちを整理する)
↓
②校長・管理職へ退職の意思を伝える(遅くても10~12月の異動希望の時期の前)
↓
③必要書類を提出(校長もしくは事務から詳細の説明あり)
↓
④個人的な手続き事項を確認(事務の方から説明がない場合もあるので注意)
↓
⑤保護者・子どもたち・同僚へ正式に公表(保護者や子どもには事前に伝えない)
↓
⑥引き継ぎ・片付け(引継ぎ準備は前もって進めておく)
↓
⑦離任式・退職
学校や自治体によって多少違いますが、大まかな流れはこのようになります。
① 退職を決意する
まず最初にすることは「本当に退職する意思が固まっているか」を確認することです。
勢いだけで伝えてしまうと、引き止められたときに迷ってしまいます。
私は結婚に伴う転居だったため、退職以外の選択肢はありませんでしたが、それでも「本当に辞めるんだ」という覚悟は必要でした。実際、引っ越し先で教員を続けるという選択肢を選びませんでした。

私は、「仕事の好きなところ」と「大変なこと・辞めたい理由」を書き出して整理し、本当に辞めるのがベストなのかを考えました。
そのうえで、辞めたい理由が環境や働き方を変えることで改善できないか考えてみることが有効な手段だと思いました。
例えば、学校を異動したらどうか、普通学級の担任ではなく級外や特別支援学級ならどうか、一度休職して十分に休んだら気持ちは変わるのか、などです。
それでも「改善は難しい」「やっぱり辞めたい」という気持ちが変わらないのであれば、その決断は後悔しにくいものになると思います。
②いつ退職を伝える?ベストなタイミング

結論から言うと、退職を決めているのであれば、できるだけ早めに伝えるのがおすすめです。
自治体によって時期は異なりますが、多くは秋頃までに翌年度の人事希望を確認されます。そのため、人事が本格的に動き出す前に校長先生へ相談できると、お互いに余裕をもって準備を進められます。
早めに伝えることに抵抗がある人は、10~12月の人事希望の前までに伝えれば十分だと思います。
私は6月の面談で、校長先生から今後のことや相談しておきたいことがないか聞いていただいたため、そのタイミングで退職の意思を伝えました。正直、「少し早すぎるかな」とも思いましたが、面談という話しやすい機会だったこともあり、タイミングを逃さずに伝えられてよかったと感じています。
管理職や事務の方とのやり取りや必要な手続きも余裕をもって進めることができ、全体的にスムーズでした。また、「退職の意思を伝えてある」という安心感をもって過ごせたのも、個人的には良かったと思いました。
③最初に伝える相手は校長先生

退職の意思は、まず校長先生へ伝えるのが基本です。主任や同学年の先生に先に話すのではなく、最初に管理職へ相談しましょう。この時点では口頭で大丈夫です。
また、事前に「ご相談したいことがあるのですが、お時間をいただけますか」と伝えてから話すと、落ち着いて相談しやすいでしょう。
学校によって対応は異なりますが、私が勤めていた学校では、校長先生から周りへの報告時期について特に指示はなく、比較的自由な雰囲気でした。一方で、学校によっては「正式に決まるまでは管理職だけで共有し、周りにはまだ伝えないでほしい」とお願いされたり、今後の進め方について説明があったりすることもあるようです。
私は6月の面談で退職の意思を伝えたため、校長と教頭へ同時に伝える形になりましたが、特に問題はありませんでした。
④周りの先生にはいつ伝える?

周りの先生へ退職のことを伝えるタイミングは、学校によって異なります。
前述のとおり、校長から「まだ周りには伝えないでほしい」「このタイミングで伝えましょう」といった指示がある場合は、その方針に従うのが安心です。
一方で、特に指示や説明がない場合は、「どこまで伝えてよいか」を管理職へ確認しておくことをおすすめします。その上で、状況を見ながら、自分が伝えておきたい先生へ報告していく形になることが多いと思います。
私は、退職のことをあまり周りに広めたくないという気持ちが強かったため、校長先生にも「学年主任だけには伝えます」とお話しし、実際に退職するまでは学年主任以外の先生には伝えませんでした。
退職の伝え方に正解はありませんが、管理職と相談しながら、自分が納得できる形で進めるのが一番だと感じました。
⑤退職までにやること
退職日までには、普段の仕事に加えてさまざまな準備が必要になります。余裕をもって進められるよう、少しずつ取り組むのがおすすめです
必要書類の提出

退職届や退職願の提出時期、提出方法は自治体や学校によって異なります。管理職や事務から案内があるので、渡された書類に目を通し、期限までに提出すれば問題ありません。
ただ、保険や組合などに関する手続きは、個々で書き方や手続き方法が異なる場合があり、分かりにくいと感じるものもあります。分からないことがあれば、早めに事務へ確認しておくと安心です。
引継ぎ資料の作成

学級や学年、会計の引継ぎは、退職する・しないにかかわらず毎年行うものですが、担当していた校務分掌や教科、行事などについては、後任の先生が困らないように引継ぎ資料を作成しておきましょう。
引継ぎでは、重要な書類をファイリングするだけでなく、データの整理も忘れてはいけません。特に、自分のパソコンや個人フォルダに保存しているデータは、後任の先生が確認できるよう、共有フォルダへ移しておくことが大切です。
私自身も、「引き継ぐ立場だったら何があると助かるか」を意識しながら資料を整理しました。手間はかかりますが、後任の先生への配慮にもなり、トラブルなく安心して仕事を引き継ぐことができます。
片付け・荷物の整理

教室や職員室の机、ロッカーなどは、想像以上に荷物がたまりがちです。
退職直前にまとめて片付けようとすると思った以上に大変なので、不要なものは少しずつ処分し、持ち帰るものも早めに整理しておくことをおすすめします。
また、「とりあえず家に持ち帰ってから整理しよう」と思うと、後回しになってしまうことも少なくありません。学校で断捨離をしながら整理を進めると、退職後の負担も減らせます。
特に、子どもの名前や成績などの個人情報が記載された書類は、自宅へ持ち帰ること自体が情報漏えいのリスクにつながります。不要になったものは持ち帰らず、学校のルールに従って溶解など適切な方法で処分しましょう。
最終日は最低限の荷物だけになるようにし、余裕をもって退職日を迎えらえると安心です。
個人的な手続き事項の確認

共通した書類手続きは、校長や事務が進めてくれますが、個人的に手続きが必要な場合もあります。
健康保険や年金、源泉徴収票など、退職後に必要になる手続きがないか、いつ受け取ることができるか事前に確認しておくと安心です。
そのほか、年休の残日数や取得についても、早めに確認しておくことをおすすめします!私は結果的に年休を消化しないまま退職しましたが、退職日までの過ごし方を考える上でも、事前に確認しておけばよかったと感じました。
また、私は共済組合の脱退手続きだけで完了したと思っていましたが、退職後も保険料の請求が続き、別途手続きが必要だと分かりました。すべての手続きが完了しているか、注意が必要です!
私が実際に退職して感じたこと

円満退職が一番エネルギーを使わず、平和に終えられるということ。
私は3月末で退職しました。体調面や精神面、家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合は、年度途中でも無理をする必要はないと思います。
一方で、3月という年度の区切りで退職する場合は、学校にとっても負担になりにくく、子どもたちにとっても自然なタイミングだと感じました。転勤する先生もいるため、年度末の退職であれば周囲からも受け入れられやすく、スムーズに区切りをつけることができます。
また、退職の意思を伝えて覚悟が決まったことで、「このままでいいのかな」「どうしよう」という不安が少しずつ減っていきました。辞めることを決めたからこそ、残りの1年間は気持ちに余裕をもって過ごすことができ、最後の教員生活を楽しむことができたと感じています。
教員退職でよくある質問

教員を退職して後悔しなかった?
私は、退職して一度も後悔したことはありません。
退職後は、休日に仕事を気にせずリフレッシュでき、自分の努力だけでは防げないトラブルへの不安も減りました。
また、十分な睡眠時間を確保できるようになり、生理不順や口内炎、風邪をひくことも少なくなり、より健康的な生活を送れるようになりました。適度に休憩を取りながら働けるようになり、何より自分や家族との時間を大切にできるようになったことが、退職して一番よかったと感じています。
退職するとき、周りから何か言われなかった?
退職を伝えた際には、「もったいない」「続けたらよかったのに」と言われたり、「教員免許があればいつでも戻ってこられるよ」と声をかけてもらったり、反応はさまざまでした。
ただ、私自身は退職を決めた時点で迷いや後悔がなかったため、周りの言葉に傷つくことはありませんでした。嫌な雰囲気になることもなく、温かく送り出してもらえたと感じています。
正直、3月末での退職だったこともあり、「私1人いなくなっても、学校はきっと回っていく」と思えるくらい、気持ちはすっきりしていました。
退職後のお金や生活は?
退職後の生活で、少し後悔があるとすれば次の仕事についてです。
私は結婚後の引っ越し先がギリギリまで決まらなかったこともあり、転職活動は全くしませんでした。「3月までやり切ったら、少しゆっくりしながら今後のことを考えればいいかな」と思っていました。
しかし、実際に退職してみると、いざ動き出そうと思ってもなかなか腰が重く感じました。
幸い、貯金をしていたため金銭面で焦ることはありませんでしたが、可能であれば次の働き方をある程度考えた上で退職すると、気持ちに余裕を持って過ごせると思います。
まとめ
今回は、私が教員を退職した経験をもとに、退職を伝えるタイミングや周囲への伝え方、退職までに準備しておいたことについて紹介しました。
教員を辞めることは大きな決断で、「周りに迷惑をかけるのではないか」「本当に辞めていいのか」と悩む方も多いと思います。
私自身も悩むことはありましたが、退職の意思を伝えてからは気持ちが整理され、最後の1年間は前向きに教員生活を楽しむことができました。
もちろん、退職後のお金や生活など考えておくべきことはありますが、自分の心や体、これからの人生を大切にするための選択肢の一つとして、退職を考えることも悪いことではないと感じています。
この記事が、教員を辞めようか迷っている方にとって、自分にとって納得できる選択をするための参考になれば嬉しいです。



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