はじめに

「今日こそ定時で帰ろう。」
そう思って出勤しても、気づけば職員室に残って仕事をしている…。教員をしていた頃、そんな毎日を過ごしていました。
授業準備、プリント作成、丸付け、保護者対応、会議、行事準備…。やることが多く、「定時で帰るなんて無理」と思っていた時期もあります。
それでも、仕事の進め方を少し工夫するだけで、以前より早く帰れる日が増えました。
私は2020年4月から2025年3月まで小学校教員として勤務しましたが、特別仕事が速いタイプではありませんでした。
だからこそ、「誰でも取り入れやすい工夫」を意識して仕事をしていました。
この記事では、私が実際にやって効果を感じた「定時・早く帰るための工夫」を紹介します。
教員はなぜ帰るのが遅くなるの?
教員の仕事は授業だけではありません。
- 授業準備/教材研究
- 丸付け
- 会議
- 保護者対応
- 校務分掌
- 行事準備
- 研修
- 成績処理/通知表作成
- 提出物の確認
- お便りの作成
- 学年会計の処理
- 学級経営/教室環境づくり
- 子どもへの個別指導
- 下校指導 など
目の前の仕事をこなしているだけでは、なかなか終わりが見えません。
正直本当に教員がやるべきことなのかと疑問に思う仕事があったり、自分がいくら丁寧に一生懸命にやっていてもトラブルが起こることも多かったりするのが現実。
「仕事を減らす」のは難しいため、「仕事の進め方を変える」ことが大切だと感じました。
定時・早く帰るためにやってよかったこと
① 1週間分の予定を作成・共有する

学校にもよると思いますが、私が勤めていた学校では予定をChromebook(タブレット)で送ることになっていました。
形式やタイミングは各担任に任されていたため、私は金曜日に次の週(月~金)の予定を送るようにしていました。ただし、「次の日は確定だが、それ以降はあくまでも予定なので変更する可能性はあるよ」と子どもたちには伝えていました。
なぜ一週間分送るようにしていたか、理由は以下の通りです。
- 自分自身も見通しをもてる
→「明日どうしようかな」「これ今週までにやらないとだった」ということがなくなる。 →1週間の予定が決まっていると、早めに授業準備ができる。 →「この単元はあと何回でまとめにはいるか」計画的に進めることができる。
- 子どもたちも先を見て行動できる
→授業の持ち物の準備、委員会や係の仕事など、前日ではなく余裕をもって確認できる。 →授業が今どこまで進んでいていて、次は何をやるのかが分かる。 →特に高学年は、テストに向けて復習することができる。 →宿題も1週間分載せてあるので、習い事や家の用事で忙しい日は事前に進めることもできる。(私はしっかりと毎日出すことを条件に、自分で調整して先にやってもOKにしていました!)
- 保護者も予定を把握しやすい
→特に低学年は、まだ自分で支度するのが難しかったり、宿題や持ち物の管理が難しい子もいたりするため、1週間分あると助かるという家庭もありました。
- 伝え忘れやミスが減る
→大事な持ち物や行事など、抜けていることがあると誰かしら気づいて教えてくれる。
② 授業準備は単元ごとにまとめて行う

毎日翌日の準備をするより、「単元ごと」まとめて教材研究するほうが、効率的かつ効果的!
- 授業全体の流れを把握できる
単元のゴールや評価のタイミングを意識しながら授業を組み立てられるため、「今日は何を教えるか」だけでなく、「単元全体で何を身につけさせたいか」を考えやすくなります。
- 放課後の残業が減る
毎日30分かけて準備するより、時間のある日にまとめて準備した方が、日々の放課後に余裕が生まれます。前日は、ワークシートやプリントなど、必要なものを準備・確認するだけ。
- 急な予定変更にも対応しやすい
雨や暑さで体育がなくなったり、出入り授業の先生が突然の体調不良で授業をしないといけなくなったりと予定が変わっても、教材が準備できているので慌てずに対応できます。
③ 会議中にできる仕事はその場で終わらせる

会議中は、新しく出てきたやることをToDoリストに書いているだけでした。
しかし、とにかくやることが早いある先生の行動を見てから、例えば、簡単なアンケートや書類、データへの記入など、その場でできる小さなことはその場で済ませるようになりました。
また、すぐにやるのは難しいことでも、「いつまでに何をやるのか」スケジュール帳に書き込んでおき、不要なプリントは処分することで書類整理をすることもできます。
「あとでやろう」は意外と積み重なります。メモするより先に行動も1つの手段ですね!
④ プリントは「残す・捨てる」を見極める

学校現場でもデジタル化は進んでいますが、まだまだ紙媒体が多いのが現実。
毎日のように、職員室の机には様々なプリントが置かれていきます。
つい机の端やファイル立てに放置してしまい、気づいたらプリントの山!必要な書類がどこにあるのか分からず、探しているうちに数分が…ということも。
重要なものはファイルにとじ、保管するものはクリアファイルへ、必要な情報だけスケジュール帳へ記入し捨てるなど、とにかくできるだけ不要なプリントを残しておかないように心がけていました。
⑤ 学期初めや長期休みにまとめて印刷する

- 音読カード
- 宿題(漢字・計算プリントなど)
- 自習用プリント
- 小テスト
- 決まったワークシート
- めあてや振り返りカード など
時間があるときにまとめて印刷しておくことがおすすめ!毎日印刷機へ行く時間を減らせます。
また、余分に漢字や算数プリントを印刷しておくと、ドリルのやるところがないときの宿題用や、急に自習体制にしないといけないとき用に使うことができ、これが意外と便利です!
⑥ SSSさん(スクール・サポート・スタッフ)を積極的に頼る
正直、私はSSSさんを頼るのが苦手で、すべて自分でやっていました。
でも、時間の使い方が上手な先生は、自分でやることと、誰かにお願いできることを見分け、効率的に仕事をしていました。
テストは自分で見たいという先生も、プリント類の印刷やラミネート、ホチキス止めなど、授業に限らず、先生方に配布するものも含め、お願いできる仕事は、遠慮せずお願いすることで、5分でも10分でも時間を削減することが必要になってきます。
先生しかできない仕事に時間を使うことのほうが大切!
⑦ 宿題は朝や10分休みに見る

1年生は難しいかもしれませんが、「宿題は朝チェックする!」ということを意識していました。
どうしても見れなかった分は、10分休みか給食を食べた後に!もちろん、自主勉ノートなど、見切れないものがある日もありますが、できるだけ放課後には回さないようにしていました。
✔ 20分休みや昼休みは、なるべく子どもたちと過ごす。
✔ 空き時間は、宿題をのんびり見るのではなく、自分の仕事を進める。
これらを心がけていました。
⑧ テストは提出された人から丸付けする

「テストは、時間が来たら番号順に集める」という固定概念を捨て、見直しまで終わった人から前に提出するようにし、出した人からどんどん丸つけをしていくようにしました。
(これもサポートが必要な低学年では、少し難しいかもしれません。)
✔ 全員分見れなくても、1人でも多く進めておくだけで、放課後が楽になる!
✔ 丸つけが早く終われば、子どもたちにも早くフィードバックでき、記憶が新しいうちに確認できる。
⑨ 子どもたちとできることは一緒に行う

「先生が全部やる」必要はなく、むしろ子どもに任せられるものは任せるようにしていました。
案外、お願いすると嬉しそうにやってくれる子も多く、進んでやってくれたことを褒めると、だんだんと教師側が言わなくてもやってくれるようになるので、子どもは頼もしいです!
- 掲示物を貼る…休み時間暇している子や掃除が早く終わった人に手伝ってもらう。
- 掃除がない日…帰りの支度が早く終わった人に軽く床を掃いてもらう。
- 授業の準備や片付け…当たり前かもしれませんが、子どもと最後までやり終える。
- 運ぶもの…新しいドリルや購入した教材、授業で使う道具などお助け役に頼む。
- 長期休みや年度末の大掃除…1週間くらい前から少しずつ、各掃除場所にお願いする。
⑩ テンプレートを作る&見直す

- 学年便りや学級便り
- 行事に関するお便り
- 道徳のワークシート(発問や振り返りの内容は、印刷せず子どもたちと考えながら書く)
- 体育の振り返りシート(単元によって多少変更することあり)
- 図工の鑑賞カード
など、年間を通して同じものを使うことはできなくても、ある程度テンプレート化しておくと、毎回ゼロから作る必要がありません。
また、授業に関するものの場合、子どもたちも「どこに何を書けばいいのか」を理解しているので説明する必要がなかったり、「振り返りにこれ書こう」と意識しながら取り組んだりすることができます。
💡お便り作成で見直すべきこと
外国にルーツをもつ児童が多く在籍している学校だったこともあり、ある研修で大学教授を招き、「やさしい日本語」についての講義を聞く機会がありました。
そこで学んだことは、「本当に伝えるべきことだけしか書かない」ということ!
日々忙しい中で大事な情報だけを知りたい保護者にとっても、少しでも時間短縮を目指し効率化したい教員にとってもメリットのあることだと思います。
例えば…
- よくある季節の挨拶文は省略(ex.秋晴れの心地よい季節となり…)
- 「ご家庭でもお声掛けいただけますと幸いです。」「ご協力をよろしくお願いいたします。」のような敬語や丁寧な言い回しを減らす。
- 学年便りは基本片面A4にする。(どのお便りも可能な限りコンパクトに)
- 保護者にお願いしたいことを端的に書く。 ×「暑い日が続いておりますので、お子様の体調管理には十分ご留意いただき、水分補給などにもご配慮いただきますようお願いいたします。」 ○「暑い日が続いています。水筒を毎日持たせてください。」
⑪ 完璧を目指しすぎない

すべての仕事を完璧にこなそうとすると、時間も気力もどんどん消耗してしまいます。
大切なのは、「優先順位をつけること」と「力を入れる仕事と、ほどよい完成度で進める仕事を分けること」です。
✔ 力を入れたい仕事
子どもや保護者、学校全体に大きく影響する仕事は、丁寧に取り組みましょう。
- 学校行事の運営・進行
- 保護者や地域へ配布するお便り・案内文
- 成績処理や通知表の作成
- 子どもの安全に関わる仕事(校外学習、避難訓練、安全指導など)
- 保護者対応やトラブル対応
- 学年・学校全体で共有する資料や提案
✔ 8割の力で進めても十分な仕事
毎回完璧を目指すより、「まず終わらせて、必要に応じて改善する」という考え方がおすすめ!
- 日々の教材研究(授業をしながら改善していく)
- 掲示物のデザイン
- 研修の振り返りや提出書類
- 毎日の板書計画
- 自分だけしか見ないデータや資料、書類
「ここは丁寧に」「ここは8割で十分」とメリハリをつけるだけで、仕事の負担はぐっと軽くなります。
⑫ 一人で抱え込まない

初任だったからというのもありますが、主任の先生に「判断が迷うことや対応に困ったことがあったら、どんなに忙しそうでもすぐに相談すること!」とよく言われました。
「報連相が重要」という言葉もよく耳にすると思いますが、本当にその通りだと思います。
トラブルの大きさにもよりますが、特に若手の先生の場合、担任だけの対応と、主任や生徒指導主任、管理職といった立場の人と複数で対応したのでは大きな違いがあります。
保護者に説明するときや、再発防止として様子を見守るときにも共有しておくほうが安心です。
問題が大きくなってから対応するほうが100倍時間がかかります💦
また、大きな話に限らず、「誰に提出するのか」「どうやってやればいいのか」など、小さな分からないは、迷っている時間こそもったいない!考える前にすぐ聞くのが一番早い(笑)
【おまけ】私が出会ったいろいろな働き方
真似できるかはさておき、様々なタイプの先生の働き方を見ることで、「これは自分にも取り入れられそう」というヒントが見つかることがあります!
メリハリがすごすぎる先生
- 極端な例ですが、月~木は定時退勤!
- その代わり、金曜日は1週間分の授業計画ややるべき仕事が終わるまでは帰らない!
ということを自分のルーティーンとして徹底していました。
もちろん、定時後でも対応しなければいけないことが出てくるのが日常茶飯事なので、いつもというわけにはいきませんが、基本は「月~木は定時で帰る人」。
そのイメージがだんだんと周りにも浸透していくので、定時で退勤しても誰も何も思いません。
無駄な時間が一切ないコツコツ型の先生
- 朝、教室に行く前のたった5分でも仕事を進める。
- 職員会議が始まるまでの数分で、メールの返信や小さな仕事をやる。
- 会議中に説明されたアンケートや書類提出は、会議が終わるまでに同時進行で済ませる。
- 子どもが帰りの支度をしている間に、次の日の準備をし、子どもたちと一緒に職員室へ。
- 空き時間は、休息の時間にせず、放課後にやる仕事をこの時間で終わらせる。
- 成績の所見は、1か月前から1日2人ずつ書き始め、成績処理の時期には終わっている。
これらの積み重ねが放課後の仕事量を大きく減らします。
「あとでまとめてやろう」ではなく、「今できることは今やる」という意識を持つだけで、無駄な時間は驚くほど少なくなるのだと思いました。
迷う時間は5秒までの先生
優柔不断な私は、迷って考え込んでしまう時間が多いのも悩みの一つでした。
- このプリントはA4サイズがいいか、B4サイズがいいか。
- この掲示物のデザインどうしようかな。
- この言い回しと、あの言い回し、どちらがいいだろう。
そんな小さなことで何分も悩んでしまい、気づけば仕事が全然進んでいない…ということがよくありました。
一方で、仕事が早い先生は違いました。
「どちらでも大差ないことは5秒で決める。うまくできなかったらまた変えればいい。」
もちろん、大切な判断はじっくり考える必要があります。しかし、日々の小さな選択に時間を使いすぎても、仕事の質が大きく変わることはあまりありません。
この意識を持つだけで、迷う時間が減り、仕事のスピードがぐっと上がりました。
まとめ
仕事が早い先生に共通していたのは、「特別な才能」があることではありませんでした。
優先順位をつけること、空き時間を活用すること、迷う時間を減らすこと、完璧を目指しすぎないことなど、一つひとつは今日からでも実践できる工夫ばかりです。
そして、特に印象に残っているのは、「子どもたちが学校にいる時間の中で、できる仕事はできるだけ終わらせる」という考え方でした。
もちろん、放課後でなければできない仕事もあります。しかし、「これは今できるかな?」と意識するだけで、放課後に回る仕事は少しずつ減っていきます。
放課後は、「あとでやろう」と残した仕事を片付ける時間ではなく、本当に放課後でしかできない仕事に使う時間です。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは自分が取り入れやすそうなことを一つ試してみるだけでも、仕事の進め方は少しずつ変わっていくはずです。
仕事の効率が上がれば、その分、子どもたちと向き合う時間や、自分自身の心と体を休める時間も増えていきます。無理なく続けられる、自分らしい働き方を見つけていきましょう。



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