はじめに
出生前診断を受けるかどうかは、夫婦によって考え方が異なり、正解があるものではありません。
私たちも、実際に妊娠してから「本当に受ける?」「どの検査を選ぶ?」「もし結果が思っていたものと違ったらどうする?」など、たくさん悩みました。
この記事では、私たちが出生前診断を受ける前に夫婦で話し合った10のことをご紹介します。これから出生前診断を検討している方や、夫婦でどう話し合えばいいか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
私たちが出生前診断を受けようと思った経緯

私たち夫婦は、妊活中から「出生前診断って受けたいと思ったことある?」と何気なく話したことがありました。そのとき夫は「俺はやっておきたいな」と話していて、私も「出産前に知れることは知っておきたい」という気持ちがありました。
ただ、その時点では深く話し合うことはなく、「妊娠したらそのときに考えよう」という程度でした。
そして実際に妊娠がわかり、出生前診断を受ける時期が近づくと、「まだ若いから受けなくてもいいのではないか」という意見を目にしたり、命の選別につながるのではないかという葛藤を感じたりするようになりました。また、もし結果が自分たちの望んでいたものではなかった場合、どのように向き合うのかという不安もあり、本当に検査を受けるか迷うようになりました。
だからこそ私たちは、検査を受ける前に夫婦でしっかり話し合い、お互いの考えや価値観を共有したうえで受けることを決めました。
出生前診断は夫婦で考えることが大切
妊娠するのは女性ですが、生まれてくる子どもを育てていくのは夫婦です。そのため、出生前診断についても「妻が決めること」「夫は付き添うだけ」ではなく、最初から最後まで二人で考えることが大切だと感じました。
私たちも最初は出生前診断についてほとんど知識がありませんでした。検査の種類や特徴、費用、検査でわかること・わからないことなどを一緒に調べ、お互いの考えを伝え合いながら少しずつ理解を深めていきました。
また、検査結果が出てからでは冷静に話し合う余裕がなくなる可能性もあります。だからこそ、受ける前に時間を作って話し合っておいて本当によかったと感じています。
私たちが話し合った10のこと
① 出生前診断を受けたいと思うか

まず最初に確認したのは、「出生前診断を受けたいと思うか」ということです。
詳しく調べる前に、まずはお互いの率直な考えを伝え合いました。最初に気持ちを共有しておくことで、今後どのような情報を集めるべきか、どんな点について話し合う必要があるのかが見えてきます。
もちろん、二人とも「受けない」という考えで一致していれば、その選択を尊重すればよいと思います。一方で、二人とも「受けたい」と考えている場合は、検査の種類や医療機関などを具体的に検討していくことになります。
私たち夫婦は二人とも「受けたい」という気持ちで一致していました。しかし、もし意見が一致しなかったとしても、そこで結論を急ぐ必要はありません。まずは出生前診断について正しく知り、お互いの考えや理由を伝え合うことが大切だと感じました。
② 出生前診断とは何かを共有する

次に行ったのは、出生前診断について夫婦で同じ知識を持つことです。
私たちは、次のようなことを一緒に調べました。
- NIPTや胎児ドック、羊水検査など、それぞれの検査の違い
- 検査でわかること・わからないこと
- 検査を受けられる時期
- 検査結果(確率)の見方や、どのくらい信頼できる検査なのか
- 非確定検査と確定検査の違い
- 確定検査に伴う流産などのリスク
- 検査を受けるメリット・デメリット
知識が曖昧なまま話し合うと、お互いの認識にずれが生じ、納得のいく結論を出すことは難しくなります。
私たちも最初はほとんど知識がなかったため、まずは夫婦で一緒に調べ、お互いが同じ理解を持ったうえで話し合いを進めました。
【参考資料】 ※詳しくは担当医や受診予定の医療機関へご確認ください。
| 検査名 | 検査の種類 | 主な特徴 | 検査時期(目安) |
|---|
| NIPT (新型出生前診断) | 非確定検査 | 母体の血液から染色体疾患の可能性を調べる。精度が高いが確定診断ではない。 | 妊娠10週頃~ |
| 胎児ドック (胎児超音波検査) | 非確定検査 | 超音波で赤ちゃんの形態や発育、異常の有無を詳しく調べる。 | 妊娠11~13週頃、20週頃など |
| コンバインド検査 | 非確定検査 | 超音波検査と母体血液検査を組み合わせて染色体疾患の可能性を調べる。 | 妊娠11~13週頃 |
| 母体血清マーカー検査 | 非確定検査 | 母体の血液成分から染色体疾患などの可能性を調べる。 | 妊娠15~18週頃 |
| 羊水検査 | 確定検査 | 羊水を採取して染色体異常などを確定診断する。流産などのリスクがある。 | 妊娠15週頃~ |
| 絨毛検査 (絨毛採取検査) | 確定検査 | 胎盤になる絨毛を採取して染色体異常などを確定診断する。流産などのリスクがある。 | 妊娠11~14週頃 |
③ 検査費用をどう考えるか

出生前診断は保険適用外となることが多く、決して安い検査ではありません。また、医療機関や検査内容によって費用は大きく異なります。
そのため私たちは、まず一般的な費用の目安を調べたうえで、どこまでなら費用をかけられるのかを夫婦で話し合いました。
私たち夫婦は、生まれてくる子どものことを考えると、多少費用がかかったとしても、検査を受けることには十分な意味があると考えました。そのため、検査費用も考慮しながら、「私たちにとって納得できる選択は何か」「受けなかった場合に後悔しないか」という視点でも話し合いました。
もちろん、費用に対する考え方は家庭によってさまざまです。無理のない範囲で、夫婦が納得できる選択をすることが大切だと感じています。
もし少しでも出生前診断を受けようか迷っているなら、できるだけ早めに担当医へ相談することをおすすめします。
私は妊娠10週目に入る頃、「そろそろ出生前診断を受けられる時期かな」と思い、担当医に相談しました。すると、「受けるなら今すぐ予約を取らないと間に合わないかもしれないよ」と言われました。
※医療機関によって対応は異なりますが、出生前診断について担当医から積極的な案内がないケースもあるようです。
実際に私たちも急いで検討し、受診するクリニックを決めて電話をしましたが、「予約がいっぱいです」と断られてしまいました。その後、運よくキャンセルが出たため希望していたクリニックで受けることができましたが、一歩遅ければ希望どおりの時期に受けられなかった可能性もあります。
そのため、少しでも出生前診断を受ける可能性があるのであれば、早めに担当医へ相談し、パンフレットをもらったり、受けられる医療機関や予約状況について確認したりしておくと安心です。
④ なぜ出生前診断を受けたいのか

基本的な情報を収集し、夫婦で共有できたら、次は「本当に出生前診断を受けるのか」を考えました。
そのときに大切だと感じたのは、「なぜ受けたいのか」という理由を夫婦で整理することです。同じ「受けたい」という考えでも、その理由は人それぞれ異なります。
例えば、
- 安心して妊娠生活を送りたい
- 赤ちゃんの状態について知っておきたい
- 出産までに心や生活の準備をしたい
など、さまざまな理由があると思います。
私たち夫婦が話し合った理由は、次のようなものでした。
- 生まれる前に知ることができる情報は知っておきたい。
- もし何らかの病気や障害がわかった場合に、出産までに心の準備や必要な環境の準備をしたい。
- 将来、私たちがいなくなった後のことも考えると、子どもが受けられる支援や生活について現実的に考える必要があると思った。
- 2人目以降の子どもも希望しているため、兄弟姉妹への影響や家族全体の生活についても考えた。
- もし障害があることが確定した場合には、妊娠を継続するかどうかも含めて夫婦で話し合う必要があると考えた。
理由を言葉にして整理することで、お互いがなぜ出生前診断を受けたいと思っているのかを理解でき、夫婦で同じ方向を向いて考えることができたと感じています。
⑤ どの検査を受けるか

出生前診断にはさまざまな種類があるため、まずは夫婦で「何を重視したいのか」を整理しました。
例えば、
- 費用
- 検査でわかる病気や疾患
- 検査の精度
- 流産などのリスクが少ない安全性
- 検査を受けられる時期(妊娠週数)
など、人によって優先したいことは異なると思います。
私たち夫婦が重視したのは、次の3つでした。
- 受けるのであれば、できるだけ精度の高い検査を受けたい。
- 流産などのリスクがない非確定検査を受けたい。(陽性だった場合は、確定検査も受けることを前提に考えました。)
- 染色体疾患だけでなく、赤ちゃんの形態や発育の状態についても確認したい。
その結果、私たちは胎児ドックとNIPTの両方を受けることを選びました。
※ただし、医療機関によっては、胎児ドックを受けた方のみNIPTを受けられる場合や、胎児ドックの結果を踏まえてNIPTを受けるか最終判断する流れになっている場合もあります。
私たちもまずは胎児ドックを受け、その結果を確認したうえでNIPTを受けるか最終的に判断することにしました。
⑥ どこの医療機関で受けるか

実際にパンフレットやホームページ等で調べてみると、同じNIPTや胎児ドックでも、医療機関によって検査内容や費用、サポート体制が大きく異なることに驚きました。
私たちが比較した主なポイントは、次のとおりです。
- 費用
- 認証施設かどうか
- 取り扱っている検査内容
- 遺伝カウンセリングや検査前後の説明があるか
- カウンセリング費用が検査費用に含まれているか
- 担当医からの紹介状(紹介状・診療情報提供書)が必要か
- 検査結果が出るまでの期間
- 口コミや実際に受診した人の体験談
認証施設は、一定の基準を満たした医療機関として認証を受けています。一方で、非認証施設でもNIPTを実施しているところがあり、それぞれ特徴が異なります。費用や検査コース、条件など異なることもあるため、自分たちに合った医療機関を選ぶことが大切だと感じました。
また、口コミがすべてではありませんが、実際に受診した人だからこそわかる情報も多くあります。例えば、「追加費用が発生した」「説明が十分ではなかった」「必要以上に羊水検査を勧められたと感じた」といった口コミを見かけることもあり、事前に確認しておいてよかったと思いました。
さらに、同じ認証施設で同じ検査内容であっても、医療機関によって費用が数万円から十万円以上違うこともあります。私たちは複数の医療機関を比較し、費用だけではなく、検査内容やサポート体制も含めて納得できる医療機関を選びました。
⑦ 陽性だった場合、次にどうするか

出生前診断を受ける前に、私たちは「もし陽性という結果だった場合、その後どうするのか」についても話し合いました。
NIPTは精度の高い検査ですが、確定診断ができる検査ではありません。そのため、陽性という結果が出た場合は、羊水検査などの確定検査を受けるかどうかを判断する必要があります。
私が受診した医療機関では、胎児ドックで異常や気になる所見があった場合は、NIPTではなく最初から羊水検査を勧めること、また、NIPTで陽性となった場合も、確定診断のためには羊水検査を受けることになると説明がありました。
もちろん、羊水検査を受けるかどうかは本人たちの意思によるものであり、受けないという選択もできます。ただし、羊水検査には流産などのリスクがゼロではないため、その点も含めて事前に話し合っておくことが大切だと感じました。
私たち夫婦は、妊娠を継続するかどうかを判断するうえでも、できる限り確かな情報をもとに考えたいと思っていました。そのため、もし胎児ドックやNIPTで陽性という結果になった場合は、羊水検査を受けることをあらかじめ決めていました。
⑧ 最終的に陽性が確定した場合、妊娠を継続するか

これは私たちにとって、一番話し合うのが難しく、そして避けて通ることのできないことでした。
正直なところ、私たちは明確な答えを出せないまま検査を受けました。
もし染色体疾患などが確定した場合には、妊娠を継続しないという選択肢も考える必要があると思っていました。しかし実際に、自分のお腹の中で育っている赤ちゃんを本当に諦めることができるのかと考えると、自信はありませんでした。妊娠週数が進み、胎動を感じるようになれば、その気持ちはさらに強くなるのではないかとも思っていました。
また、検査結果をもとに限られた期間の中で大きな決断をしなければならないことを考えると、本当に冷静に判断できるのだろうかという不安もありました。
だからこそ、答えを出せなかったとしても、「もしその状況になったらどう考えるか」を一度夫婦で話し合い、お互いの気持ちや考えを知っておくことはとても大切だと感じました。
もちろん、どのような選択をするかに正解はありません。出生前診断に対する考え方や価値観は夫婦それぞれ異なるからこそ、後悔のないように十分に話し合っておくことが大切だと思います。
⑨ 障害や病気のある子どもについてどう考えるか

出生前診断を受けても、すべての病気や障害がわかるわけではありません。
出生前診断でわかるのは一部の疾患や異常に限られており、検査結果が陰性だったとしても、病気や障害のある子どもが生まれる可能性はあります。私たちは、そのことを理解したうえで出生前診断を受けることを決めました。
だからこそ、当たり前ではありますが、検査結果にかかわらず、生まれてきた子どもは大切に育てるということを夫婦で約束しました。
もし将来、病気や障害が見つかり、生活する場所や働き方を変えなければならない状況になったとしても、その子にとって何が一番良いのかを夫婦で考えながら向き合っていこうと話し合いました。
出生前診断は、すべての病気や障害を調べるための検査ではありません。そのことを理解したうえで、「どんな結果であっても親としてどう向き合っていくか」を夫婦で話し合っておくことは、とても大切だと感じています。
⑩ 家族に伝えるか

最後に話し合ったのは、出生前診断を受けることや、その結果を家族に伝えるかどうかです。
出生前診断はとてもセンシティブなテーマです。そのため、どこまで誰に伝えるかも、事前に夫婦で話し合っておくことが大切だと感じました。
私たち夫婦は、出生前診断を受けることについては誰にも相談せず、二人だけで決めることにしました。また、結果については、陰性だった場合は家族にも伝えず、もし陽性だった場合は必要に応じて家族に伝えようという考えで一致しました。
その理由は、まず「生まれてくる子どものことだからこそ、夫婦二人で納得して決めたい」と思ったからです。また、出生前診断に対する考え方は人それぞれであり、特に親世代ではさまざまな価値観を持っている方もいます。出生前診断に否定的な考え方が良い・悪いということではなく、とてもデリケートな話題だからこそ、まずは夫婦だけで向き合いたいと考えました。
もちろん、家族に相談することで気持ちが楽になったり、支えになったりする方もいると思います。反対に、夫婦だけで決めたいと考える方もいるでしょう。
どちらが正解ということではなく、自分たちにとって後悔のない方法を選ぶことが大切だと思います。
まとめ
出生前診断は、検査を受けること自体がゴールではなく、その前後で夫婦がどれだけ話し合い、お互いの考えや価値観を共有できるかがとても大切だと感じました。
私たちは20代後半ということもあり、「まだ受けなくてもいいのではないか」と迷った時期もありました。しかし、受ける・受けないにかかわらず、一度夫婦で出生前診断についてよく調べ、正しい情報を知ったうえで判断できたことは、本当によかったと思っています。
出生前診断は、通常の妊婦健診だけではわからない赤ちゃんの情報を知ることができ、赤ちゃんについてより深く理解するきっかけにもなります。また、もし何らかの病気や障害が見つかった場合でも、出産までに心の準備をしたり、必要な医療や生活環境について考えたりする時間を持てることも、出生前診断の大切な役割の一つだと感じています。
もちろん、出生前診断に対する考え方や選択は夫婦それぞれ異なります。だからこそ、「何が正解か」を探すのではなく、「自分たち夫婦にとって納得できる選択は何か」を二人で考えることが大切だと思います。
この記事が、これから出生前診断を検討している方や、夫婦で話し合うきっかけになれば幸いです。
なお、実際に出生前診断を受けた感想や検査当日の流れ、検査結果を受けて思ったことなどについては、別の記事で詳しく紹介していく予定です。あわせて読んでいただけるとうれしいです。


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